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2002/05/27
Editor's EYE
編集部がキャッチした
さまざまなお役立ち情報を
ご紹介します!
『アレクセイと泉』自主上映会に参加して
『アレクセイと泉』
『アレクセイと泉』
『アレクセイと泉』(2002年作品)
【解説】
豊かな原生林と肥沃で豊穣な大地を持ち、白ロシアと呼ばれるベラルーシ共和国。チェルノブイリ(旧ソ連・現ウクライナ共和国)で起こった史上最悪の原発事故で、豊かな国土は放射能で汚染されてしまった。
ベラルーシ共和国東南部に位置する小さな村、 ブジシチェも、汚染のため政府から移住勧告が出され、かつて600人いた住人のほとんどがこの村を去り、55人の年寄りと一人の青年アレクセイだけが残る。村を囲む森も、畑も、収穫物も汚染された。けれども、不思議な事にこの村の中心に湧く泉からは、放射能が検出されない。「なぜって?それは百年前の水だからさ」と、村人たちは自慢そうに答える。そして、村人たちはこの泉で野菜を洗い、洗濯をし、飲み水を汲んでいく・・・。泉をめぐる村人たちの営み描きながら、こんこんと湧く「泉」は、私たちに“本当の豊かさとは何か”を静かに語りかける。(サスナフィルムWebサイトより)
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監 督 本橋成一
製 作 小松原時夫/神谷さだ子 
撮 影 一之瀬正史
録 音 弦巻裕
編 集 村本勝
撮影助手 山田武典
現地録音 永井重生
スチール 明石雄介
製作補 瀬川敦子
宣伝美術 渡辺寧人
音 楽 坂本龍一
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>>『アレクセイと泉』についての詳しいことはサスナフィルムのWebサイトへ

>>「日本チェルノブイリ連帯基金」はこちら
写真家でもある本橋成一監督がチェルノブイリ原発事故で被災したブジシチェ村を舞台に不思議な泉とそこで暮らす人々を描いた美しいドキュメンタリー映画を作りました。この作品は今年のベルリン国際映画祭でベルリーナ新聞賞と国際シネクラブ賞を受賞したことでも話題になりご存知の方も多いと思います。5月26日(日)に倉敷の「旅館・御園」で行われた自主上映会には、本橋監督も出席され、貴重なお話を聞かせていただきました。生きること、本当の豊かさ、そして地球のことを考えさせてくれた素晴らしい作品。それを作られた本橋監督のお話も感動的でした。ここにその一部をご紹介させていただきます。こういう作品が福山でも上映される日がくることを心から願っています。
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5/26旅館・御園にて
『アレクセイと泉』監督
本橋成一・談

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2002年5月26日
旅館・御園にて

僕は戦前の生まれで、高度経済成長を謳歌した世代です。物質的に豊かになることがとても嬉しかった。でも、いつの頃からかそういう豊かさに違和感を覚えるようになったんです。

■子供たちにメッセージを残したい

初めてチェルノブイリを訪れたのは1991年のことで事故が起こったのが1986年ですから5年後のことです。当時報道写真家をしていた僕に、「チェルノブイリ連帯基金」という団体が機関紙に載せる写真を撮ってほしいということで依頼がありました。事故が起きた炉の前で放射能を測定したら正常時の600倍もあり、みんな驚いてバスに逃げ帰りました。よく考えればそんなことしたってもう遅いんですけどね(笑)。放射能は目にみえない、痛くもかゆくもないことが問題なんです。その後、被災した子供たちが入院している病院を訪問したんですが、抗がん剤で髪の毛が抜け落ちた子供たちが日本からお客さんが来るというのでベッドの上で笑顔を作って迎えてくれるんです。それが耐えられず、本当は写真を撮影しなければならないのに最小限の写真しか撮れませんでした。そしてその時、この子たちにわかってもらえるメッセージを残したいと思ったんです。

■人と人の関わり合いが作った作品

もう二度と行きたくないと思ったチェルノブイリですが、その後30数回訪れました。ブジシチェ村のことをおしえてくれたのは衛生局のナターシャさんでした。ブジシチェ村はチェルノブイリから180km離れたところにある汚染地区でした。そのときの風の向きや雨の影響で離れていても汚染されるんです。でも、初めて訪れたときは春でそんな汚染地区だなんて信じられないくらいいい所でした。一緒に行ったお医者さんたちが診察に明け暮れている間、私はブラブラと村中を散策しました。そしていろんなお宅でお酒や食事をごちそうになって・・・。この映画はそんな人と人との関わり合いが作った映画です。

■生きる手

映画をご覧になって皆さんも思われたことでしょうが、生きる、暮らす技術をたくさん持っているって素晴らしいことだと思います。(村人たちは水を汲み、木を切り、かごを編み、家畜を育て、家畜を食べ・・・すべて自分たちの手で生きています。)本来なら、僕もそういうことができなきゃいけないはずなのに、僕たちは生きる手を失くしてしまっている。バッバと握手するとき僕は自分の手が恥ずかしくてしょうがない。
この映画はアレクセイと55人の村人たちと泉の話です。事故以来ほとんどの人が村から出ていったのに、この人たちだけは出ていかなかった。それはなぜかと尋ねたら、「町へ行ったら水を返せない」って言うんです。僕はこの言葉に衝撃を受けました。体内の70%が水でできている人間は、その水を地球から借りていると考えるんです。とても謙虚な考えです。昔、水を出しっぱなしにしていてよく母親から怒られました。僕たちはいつのまにかそういう謙虚さを忘れ、地球や自然に対して傲慢になっていることに気づかされました。地球の中で人間が使える淡水は、0.001%しかないそうです。それを循環させて使っているんです。

■人類の進歩は愚

書物からの受け売りですが、300年前の地球の人口は今の10分の1の6億。300年の間に人口が10倍も増えました。それは産業革命があったから。産業革命の一番の発明は蒸気ポンプです。水は本来上から下に流れていくのに、蒸気ポンプのおかげで低いところから高いところにも水を送れるようになった。それまで住めないところにも住めるようになった。蒸気ポンプのせいで自然のバランスが崩れてしまったんです。ま、そのおかげで僕もこうしてこの世に生を受けているのですからなんとも言えませんが…。
これも受け売りですが、原始キリスト教の経典に「人類の進歩は愚だ」と書かれてあるそうです。発達したものを悪用して生きている。僕たちが作ってしまった豊かさの後始末を21世紀はしていかなければなりません。

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