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<BBS> <Editor's Diary>
last updated : 2004/10/25
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コーヘー
【コーヘーprofile】
パリ4区在住。
20世紀フランス
文学を研究中。

vol.3 静かな場所

東京ほど人口が密集し、めまぐるしく人間や物資が流通している都市は珍しい。村上春樹の短編が舞台化され、パリで公演があったので友達と見に行ったのだが、東京は眠らない、人口の光の洪水の中にある猥雑な都市として表象されていた。もちろん東京のような大都市でも夜の学校やオフィス街など、時間帯によって静かな場所は容易に見つけることができる。人が誰もいなくて、暗い場所。しかし、そうした場所ではちっとも落ち着けない。自分の家を除いて、落ち着ける静かな場所というのはなかなか見つけるのは難しいのかもしれない。物音ひとつしない場所は、逆にその沈黙をうるさく感じてしまうし、光のない暗い場所は、不安で落ち着くことができない。僕が探しているのはほどよく音が聞こえてきて、美しくもすさんでもいない風景がある場所だ。

 

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セーヌ川の川べりを歩き、人気のない落ち着いた場所を探してみた。サン・マルタン運河で目に入ってきたのはグラフィティ(落書き)だ。程よく静かな開けた眺望に派手派手しいグラフィティが闖入してくる。若者のメッセージ、階級社会、人種差別、ヒップホップ文化、自称アート・・・。騒々しい。押し付けがましい。日が暮れたのでカフェで食事をしたあと、再びセーヌ川沿いを今度は中心部に向かって歩いてみる。昼間とはうってかわり、川沿いの道路にある信号や照明の光が川に強く反射する。ほんの一瞬きれいだと思うが、すぐに目はくたびれる。単純に色が騒々しいのだ。川べりは静かで素朴なはずだというのがイメージとしてあったからセーヌ川沿いを散歩してみたが、なかなかこれだという場所を見つけられない。これからも静かで落ち着く場所を探していこうと思うが、最近一番落ち着いたのは乗客のほとんどいない郊外行きの電車の中だった。

 

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