
東京ほど人口が密集し、めまぐるしく人間や物資が流通している都市は珍しい。村上春樹の短編が舞台化され、パリで公演があったので友達と見に行ったのだが、東京は眠らない、人口の光の洪水の中にある猥雑な都市として表象されていた。もちろん東京のような大都市でも夜の学校やオフィス街など、時間帯によって静かな場所は容易に見つけることができる。人が誰もいなくて、暗い場所。しかし、そうした場所ではちっとも落ち着けない。自分の家を除いて、落ち着ける静かな場所というのはなかなか見つけるのは難しいのかもしれない。物音ひとつしない場所は、逆にその沈黙をうるさく感じてしまうし、光のない暗い場所は、不安で落ち着くことができない。僕が探しているのはほどよく音が聞こえてきて、美しくもすさんでもいない風景がある場所だ。 |