
パリからTGVで北へ約1時間のところにリールという工業都市がある。リールはフランスでは第4番目の都市だったと思う。ベルギーとの国境の側に位置し、TGVやユーロスターなどが通ったためにロンドン、パリ、ブリュッセルをつなぐ中継点に位置した重要な都市だといえるだろう。2004年、<ヨーロッパ文化首都>となったリールでは、街のあちこちで文化的活動が1年間通して繰り広げられてきた。例えば、リールの駅に到着すると、駅自体が紫色で包まれるよう仕掛けられているといった具合だ。 
多種多様な試みの中で、特に目に付いたのは「光」のテーマだ。何人ものアーティストが光と都市、あるいは光と空間との関係をそれぞれのやり方で表現しており、すべてがうまくいっているとは思えないものの、光のアートは否応無く見るものの身体の参加を余儀なくする点で、人を集めるのには好都合だといえるだろう。なにせ、文章や写真で「光のアート」といってみたところで、それを実際に体験することからは随分と隔たっているといえるからだ。だから、今回の文章にどれだけの意味があるのかは分からない…。 数あるアートの中でもっとも印象的なものの一つが、サント・マリー・マドレーヌ教会での光のインスタレーションだ。赤と青の二つの小さな電飾を一つのユニットとして、それが一定の間隔で無数につけられたロープが教会の上から吊り下げられている。電飾は一定の時間で赤から青に段々と変化していくが、見る場所によって目にうつる色彩が変化する。空間の中を動けば、目にうつる色彩も変化する。面白いのは、そうした色の中を歩くほかの人間を見ることだ。動く人間の部分は黒い影のように目にうつり、空間の中に人間が存在していることが強調される。人は光によって、空間を感じながら、その空間の一部として存在しているのだ。身体、光、色、空間、そうしたごくごく日常の問題がここでは前景化されているといえる。 
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