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<BBS> <Editor's Diary>
last updated : 2004/12/13
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オノ君
【オノ君profile】
パリ9区在住。
20世紀フランス
文学を研究中。

vol.9 街の光

12月に入り、コートを着こんでも寒さが身にしみるような日が続いている。もちろん、もっと本格的な寒さを知らないわけでもないけれど、寒いものは寒い。この程度の寒さでは驚かないと平然としているには寒すぎる。かといって、手袋、マフラー、ニット帽で完全防寒するのも大げさな気がする。いまからひるんでいたらこの先来るべき本物の寒波に耐えることはできない。今日は街のパリジャンたちが何を着ているか観察してみよう。周囲から浮くほど着ぶくれているのは気候の違う場所から来た旅行者だろう。

ようするに、薄着をしていればそれなりに格好はつきそうだ。周囲から浮いてしまったら、私は車でしか移動しないんですという顔をすればいい。それで車がなければやせ我慢をするしかないけれど、寒さをこらえているのがばれてしまうと、実は家にもっと厚手のコートがもう一枚あるんですなどと先回りして妙な言い訳をするはめになりかねない。と、日本人ならそこまで考えて、一応窓から道行く人を眺めてから出かけたりするのだけれど、一般のフランス人は案外何も考えず、寒い日にはそれなりに着こんでいるようだ。本当に暑いとき、寒いときには季節感とか周囲の目とかを気にしている余裕はない。

さて、街はいつの間にかすっかりクリスマス一色だ。パリのイルミネーションは黄色がかった小さな電球が連なるコードで壁や街路樹を飾るのが基本らしい。シャンゼリゼや大きなデパートなどは別だけれど、色も一色きりで点滅もしないというシンプルさが潔い。しんしんと冷えこむ夜など、これが冷たいほど冴えて映る。商店街の上にはりめぐらされた電球の連なりはちょうど首まわりに巻かれたアクセサリーのようにたわんでいる。黄色というのは本来暖色のはずだけれど、不思議なものでお店や家庭を飾られているのを外から見るとたしかにあたたかそうに映る。なかなか暮れない夏の夜とイルミネーションに彩られた長い冬の夜。そのコントラストはこの街の緯度上の位置に由来する。

そういえば、以前ロンドンからジュネーブに向かう飛行機の窓からパリの夜景を見たことがある。その明るさは周囲から際立っていて、曲がりくねるセーヌの暗さとそこに浮かぶシテ島の明るさまで見わけることができた。もちろんこの明るい街でも寒さのために死んでいく人たちが毎年少なからずいる。それでもこの光に引きつけられる人々がいることはよくわかる。たしかに上空から見たパリの明るさはどこか陽気だったのだ。

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