 |
 |
オノ君 |
 |
 |
2004年8月1日 |
 |
 |
ヴィー・プラス編集部 |
 |
 |
ウォーターフロント |
 |
7月25日、日曜日、フランス中を駆け巡る自転車レース、ツール・ド・フランスもUSポスタルのアームストロングの7連覇で幕を閉じた。最終日にはパリの街がサーキットコースと化し、柵越しに声援を送る大観衆が色とりどりのマイヨ(ユニホーム)を着た選手たちを迎える。この華やかなイベントが終わり、週があけると、このところ晴天続きのパリの街もどこか寂しげ。むかいのアパートの窓も軒並みよろい戸を閉ざし、車の往来や人通りもめっきり少なくなって、毎日が日曜日のように静かだ。
この季節、日差しのきつい昼間の通りを歩くとさすがにじわじわと汗が出てくるけれど、湿度が低いせいか、部屋の中で過ごす分には気持ちがいい。とくに去年の記録的な猛暑を知っていると多少の暑さも苦にはならない。来たばかりのころは、車の行き交う表通りのカフェのテラスで食事をするフランス人たちを怪訝な目で見たものだけれど、夜の長いパリの冬を越すと太陽のありがたさが身にしみてわかる。小麦色の肌は健康の、そして海辺で余暇を過ごす余裕の証しなのだ。
真夏のパリでも人々はゆったりと流れる時間とつかのまの涼しさを求めて水辺に集まる。セーヌに浮かぶ古い船を改造したカフェやクラブ。眺めのいい河岸のレストラン。野外のジャズコンサート、岸辺のダンスパーティー、橋の上でのピクニック――夏の楽しみは、川べり、運河のほとり、噴水のある公園など、水のある風景によく似合う。広壮なパリ市庁舎の一部を保育所として開放するなど革新的な市政を行ってきたドラノエ市長のアイデアではじまったパリ・プラージュ(パリ海岸)も今年三年目を迎えた。
さて、今日は散歩と夕涼みがてら、ひさしぶりにサン・マルタン運河のほうへ足をのばしてみた。運河沿いの風景は並木が陰を落とすレピュブリック付近から川幅が広がり工業都市の面影を残すヴィレットまでそれぞれ違うけれど、今日出かけたのはその中間にあるスターリングラード。このあたりの岸辺にはシネ・コンプレックスとオープン・カフェもあり、散歩するカップル、ジョギングする人、サンドイッチを食べる人、ただぼんやり佇む人など、少し気だるい夏の午後を思い思いに過ごす人々で静かな賑わいを見せていた。平らな運河の水面には岸辺から離れて見回りのボートらしきものがぽつんと浮かぶだけ。キャビンには人影が見えないけれど、この船にはいったいどうやって乗りこむのだろうか? リモコンで操作するのか。綱でたぐり寄せるのか。帰宅してからも、夜の運河に暮れ残る白いボートをときどき思い浮かべていた。
 |
 |
|