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<BBS> <Editor's Diary>
last updated : 2004/08/09
コーヘーのパリメール
府中市出身パリ在住のコーヘーが、パリでの暮らし、今のパリの様子などを毎週届けてくれます。後半のプチ・フランス語講座もお見逃しなく!
 
From コーヘー
Date 2004年8月8日
To ヴィー・プラス編集部
Subject エクス・アン・プロヴァンス(2)

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 パリに帰ってきて一発目が、前回のパリメールの続きということに自分でもひいていますが、ネタがないのでご容赦を。ピンチヒッターのオノ君はとてもお洒落な写真と文章だったので、ちょっと恐縮しています・・・。
 エクス・アン・プロヴァンスには能楽堂があり、そこで能の公演がおよそ二年に一度行なわれている。十年余前にこの能楽堂を寄贈したのは、喜多流の狩野丹秀氏だ。写真に写っている能舞台は日本から輸送されたものらしく、単にこれだけのものを建てるだけでも大変な資金を必要とするのに、輸送となると総額で一体どれ程かかったのだろうなどと卑俗な考えが頭をよぎる。異国間の文化交流など口にするのは容易いが、いざ実行しようとすれば、単に経済的な面だけをとってみても大変な労苦を要するのだ。その上、維持のための技術の伝達やら、公演のための諸々の宣伝やら準備やらを考えると・・・。ともあれ、僕がエクスを訪れたのはこの公演を見るためでもあった。公演を行なったのは狩野先生ご一行と福山の大島先生ご一行だ。僕は恥ずかしながら、能を生で観るのはこれが初めてで、なかなか感想を言葉にすることはできないけれど、これをきっかけに関心を持つ事ができたので、理論的なものから実践的なものまで能に関する本を数冊取り寄せた。外国に住んでみて痛感するのは、自分が自国の文化を思ったよりも知らないことだ。外国人の友達は、茶や能や侍などについてたくさん質問してくるのだけど、僕は答えられないということが何度となくあり、恥ずかしいのを通り越して、「自国」というのがどういうことなのか考え込んでしまう。などと言って、自分の無知をごまかそうとしているだけなのだが・・・。
 公演が終わるともう夜で、ホテルまで歩いて帰った。写真はその時撮った街路。前にパリの夜の街路を紹介したのだけど、それと比べてエクスのそれは全く違う雰囲気を漂わせている。パリの夜の街路が何かが起きた後の事件現場のような雰囲気だとすれば、つまり、すこし前に人がいて何かを起こしたような雰囲気だとすれば、エクスの夜の街路は人の気配の痕跡すらなく、ただ延々と道が続いていくかのような雰囲気を持っている。恐ろしく静かなため、自分の足音が耳障りなくらい響き、暖かいはずの照明の色が緊張感を与える。昼間は生活する人々の穏やかな息づかいが聞こえてきそうな街路が、夜になるとここまで容貌を変えてしまうこともまた僕がエクスを好きな理由の一つだ。
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今週の表現  今週の表現

「セ・ラ・オント」と発音。「恥だ」、「恥ずかしい」の意味。C'est honteux.(セ・オントゥ)も使うが、口語ではよくこの「セ・ラ・オント」を耳にする。何かみっともない失敗をやった時、自分の国の文化について知らない時などに使う。かつてフランス人の友人は、自分の国の教育システムの不徹底さについてこの表現を使っていたが、「ゆとり教育」の国から来た僕の方がむしろこの表現を使いたかった。


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【コーヘーprofile】
パリ4区在住。府中市出身。20世紀フランス文学を研究。
コーヘー