今日の話はあまり世の中に知られていない、世にあまり紹介されていない話です。
以前から漠然と感じていたり、他のスタッフとの話の中でときどき同感していたことですが、先日読んでいた本の中にそれを裏付ける一節がありましたので、ご紹介します。
持論「家を新築したり、改装したり、住まいを美しくした家の奥さんは間違いなく美しくなる。」(10へえくらい?)
これは、住宅の営業マンや建築家や私たちのように建築にかかわる者はたいてい気づくことなんです。古い家のときから打ち合わせなどを重ねていますので、何度もお会いしていますし、住まい方も承知してプランを進めるわけですから、とても気取ってはいられない関係です。ときには子供にご飯をたべさせながら、ときにはジャージにのびたTシャツ姿、時にはお姑さんとケンカしながら、なんていうときもあるわけです。
それが…。家を引き渡して次に伺うと、絶対に奥さんがきれいになっているのです。それも、いいものを着ているとか、きちんと化粧しているとか、そんなことではないのです。顔が輝いているのです。ココロの満足か、余裕というか、何かそんなものを感じるのです。それも入居して最初だけではないんですよ。結構継続して、だんだんきれいに、生活感もUPしていたりして、これはほんとに毎回感じます。どうして女性はこんなに変わるのだろう、しかも年齢に関係なく、です。
で、先日まったく建築には関係ない本を読んでいるときにその謎がとけました。
それはこういうことだったのです。たとえばフランス料理を食べに行きます。人間の味覚に影響するのは、「誰と食べたか(好きなヒトと食べたか、嫌いなヒトと食べたか)、どんな気持ちで食べたか(イライラしながら食べたか、落着いて食べたか)、レストランのサービスはどうか(ウェイターのサービスはどうか、きれいに掃除されているか、音楽はどうか)、インテリアはどうか(趣味のいいカーテンか、照明に気を使っているか)、周りの客層はどうか(マナーの悪い客はいないか)、立地条件はどうか(閑静なところか)、などだそうです。驚くことに、「味」全体のうち料理そのものの占める割合は、3割程度なんだそうです。逆にいえば、約7割は料理以外の味を味わっていると言うことになるのです。これはすごいことです。人間はそれだけ精神的な存在であるということに他ならない。「快(うれしい、たのしい、気持ちいい)」を堪能するには、環境が重要だということです。共感してくれる人の存在や気持ちのよい環境があって初めてうまい、とか楽しいとかを味わえるのが人間という動物なのです。
どうです?結局、環境を整備し、人間の特性である「快」という感覚を味わうことで、感覚が自然に高まっていくのは当然のことのようです。不思議ですね、人間って。つまり、極端に言えば、新築、改装などで家を整えることは、やはり物理的なことのみならず、精神的に深くいい効果をもたらしているということです。夫も、妻も、子供も。ああ、やはり、建築っていい。この仕事、ますます辞められません。
私がまだかけだしのころ、一緒に仕事をしていた女性スタッフが言いました。「ここの○○さん、建て替える前はいつ行っても、皿に駄菓子がバサーッてだされて、湯のみでお茶出してくれてたの、ほんと、田舎のいいおばちゃん、って感じで。それがさー、建て替えてからいったら、前掛けじゃないのよ、洋エプロンして、ケーキ出してくれたの。紅茶でさ、びっくりした。家新しくなったらなんか気取ってんのかと思ってたら、次に行ったときもそうで、人が変わっちゃった。化粧きちんとしてきれいになって、びっくり。」そのときは笑い話になっていましたが、これは本当にある話なんだとつくづく思います。
ヒト、ココロ。ううーん、深い。
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□引用:岩月謙司著「女性の『オトコ運』は父親で決まる」(新潮文庫)
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