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『 正月 』 私は正月というと祖父を思い出す。明治生まれの祖父は「粋」という言葉が似合うダンディな人だった。祖父は亡くなるまでずっとわが家の正月を家長として仕切っていた。まず大晦日には床の間に花を生けるのが祖父の役だった。大きな水盤に豪華な生け花を毎年いけていた。子供ながらにも男のくせにうまいなぁと感心して見ていたものだ。元旦の朝は朝風呂に入り、大島の着物に着替えた祖父が上座に座り訓辞を述べるのも恒例だった。内容はあまり覚えていないが唯一覚えているのは「人という字は支えあって出来ている。人間支え合って生きていかなければいけない」。毎年こんなたぐいの話をして、お屠蘇を家族みんなにつぎ、おせちをいただく…そんな日本の正月らしい伝統は今でもわが家に受け継がれているけど、それは「粋」な祖父がいたからこそなのかも知れない。 |
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